急にお金が必要になった場合には、消費者金融や銀行のカードローンで借りるのも良いですが、生命保険の契約をしている人は契約者貸付制度を利用するという手もあります。
生命保険の契約者貸付は貸金業者や金融機関などよりもお金を借りやすい面を持っており、上手に使えば快適にお金を借りれます。ただし、契約者貸付は使い方によっては将来的に問題が起こることもあるため、注意も必要です。
生命保険の契約者貸付制度とは
生命保険は、毎月や一括などの方法で保険料を支払い、病気になった時や将来に備えるというものです。生命保険の保険料は掛け捨てのものもありますが、一部を積立金として運用して解約返戻金、決められた時期に満期金、お祝い金として受け取れるものなどがあります。
こうして積み立てておいたお金を元にして一定の金額の貸付を行う制度のことを、契約者貸付制度といいます。契約者貸付制度は、積み立てている自分のお金を借りるため、消費者金融や銀行などの無担保ローンよりも借りやすい面があります。この制度を利用できる保険は、終身保険や養老保険、個人年金保険、学資保険などです。
生命保険の契約者貸付制度の基本条件
生命保険の契約者貸付制度は、普通のローンとは違った性質を持っており、使える金額や使い方など持ちがいます。利息のつき方も違うので、思いもよらない借金となってしまうこともあります。契約者貸付制度の利用を考える場合には、まずはその条件を押さえておきましょう。契約者貸付制度で利用できる金額
契約者貸付制度では、基本的に解約返戻金の範囲内の決められた金額を利用できます。大体は返戻金の70パーセント程度となります。自分で保険料、積み立て金として支払ってきた分以上の借り入れをすることはできませんが、その分もし返済に困っても最終的にはお祝い金や満期金として受け取る分から相殺して返済に充てることも可能です。
自分のお金を借りるようなものなので、損した気分にもなりますが、保険の内容を継続したままで現金を手に入れられるため安心感があります。
審査
契約者貸付制度では、自分の積み立てているお金から借りるため、審査は必要ありません。最終的には返戻金で相殺できるため、保険会社も安心して貸付できるのです。また、信用情報にも関係がないので、他のローンを利用する際も審査に影響することはありません。契約者貸付制度の金利
契約者貸付制度は、自分が将来受け取れるお金の一部を借りるものですが、利息はつきます。利率は保険商品や契約時期などによって異なり、基本的には消費者金融などよりは低めです。保険の予定利率に上乗せされた利率で、年率3~4パーセントくらいとなります。
ただし、契約者貸付での利息は消費者金融カードローンなどと違い、複利になっています。複利とは利息が元金に繰り入れられるというもので、返済しないと最初に借りた元金が徐々に増えていくようなシステムです。
1年複利となるので、例えば年率3パーセントで100万円借りたら翌年は元金が103万円、その翌年は106万円(正確には106万900円)、次の年には109万2,000円くらいになります。
保険が失効となるリスクも
生命保険の契約者貸付は、解約返戻金の範囲内で借りられるものですが、複利で元金が膨らんでいくため、借りた金額や年数によっては返戻金の範囲を超えてしまうこともあります。返戻金の金額を貸付が超えてしまうと保険が失効となって、これまで通り保障を受けられなくなります。
保険が失効とならなくても、借りている金額を引かれて満期金やお祝い金が減ってしまうこともあります。教育資金などの予定で満期金やお祝い金の金額を設定していた場合には、将来的な資金計画が崩れるかも知れません。
生命保険の契約者貸付制度の利用方法
契約者貸付にはリスクや注意点もありますが、実際には計画的に利用して返済しておけば問題なく使えるものです。その範囲内であれば何度も使えるので、使いやすい方法を覚えておきましょう。契約者貸付の借入方法
契約者貸付は、書面やインターネット、ATMなどで利用することができます。書面での利用は、電話で書類の取り寄せなども必要となり、トータルで1週間以上かかることもあります。インターネットやATMでの利用は、最短即日~即時利用可能となりますが、事前に会員ページの申し込みやATMで使えるカードの発行などの準備が必要です。手数料は、提携ATMを使った場合必要となります。契約者貸付の返済方法
契約者貸付は、最終的には自分のお金ではありますが、返済しないと保険の継続や満期金の受取りなどに影響します。満期までに返せば決まった返済日はありませんが、少なくとも失効しない程度には返済をして、保険も貸付も上手に活用を続けましょう。
返済方法は振り込みやATM入金、店頭での支払いなどがあります。ATMの場合には特に、手数料もかかる場合があるので確認しましょう。一括返済をする際は、保険会社に問い合わせを行い、元利を合わせて不足なく支払うことが必要となります。
保険失効前には連絡が
もしも貸付の元利が返戻金を超えた場合には、通常保険会社から連絡が入ります。そういった場合には、保険会社の指定する金額の支払いを期限までに行うことで失効を免れることも可能です。支払いせずに放置すると保険が失効になります。契約者貸付制度は上手に使って
生命保険の契約者貸付は簡単に言えば、将来自分のお金になる分を借りるようなものであり、審査も必要なく手軽に現金を手にすることができる方法です。
ただし、借りる金額や期間によっては保険が失効するリスクもあるため、十分に注意をして利用しましょう。上手に利用すれば、保険を継続しながら急な現金の入用に役立てられます。