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自己破産の方法・手順

「毎月の返済が限界...もう自己破産しかないかも...」

自己破産の申し立てを裁判所に対して行い、免責の決定を出してもらうと、あなたが負っている借金はすべて返す必要がなくなります。

そんなうまい話があるの?と思われる方もおられるかもしれませんが、自己破産により免責を受けるのは日本に住む人であれば誰でも利用できる方法です。

自己破産を行うことによるデメリット(持ち家や自動車を手放すことや、10年間は借金ができなくなることなど)ももちろんあります。

しかし、今のまま借金を返し続けることがあなたの人生にとってプラスになるかマイナスになるか...を考えた上で自己破産を選択するかどうかを判断する必要があります。

以下では自己破産を行うときの方法や手順について具体的に説明させていただきますので、借金の負担がもう限界...という方はぜひ参考にしてみてくださいね。

準備書類をそろえる

自己破産は裁判所に申してをして行う手続きですから、提出するべき必要書類がもれなくそろっていないと申し立てを受理してもらうことができません

自己破産の申し立てを行う際には、以下のような書類が必要になります。

①税金の課税証明書(市民税、都道府県民税) ②住民票や戸籍謄本
③収入を証明する書類(給与明細の数ヶ月分や源泉徴収票)
④銀行預金通帳(口座を持っている銀行すべて)
⑤アパートの賃貸契約書
⑥持ち家の場合は不動産の登記簿謄本
⑦自動車がある場合は車検証や中古車業社の査定書の写し
⑧積立タイプの生命保険がある場合は保険証券の写しや解約返戻金証明書
⑨年金を受け取っている場合は受給証明書の写し

また、申し立てを行うに際して以下のような書類を自分で作成して提出しなくてはなりません(作成の雛形は裁判所のホームページからダウンロードできるほか、最寄りの地方裁判所の窓口で受け取れます)

①債権者の一覧表
②所有している財産の目録
③家計の収支状況
④陳述書

なお、ここで作成する債権者の一覧表や財産目録に漏れがあることが後からわかると、それまで進行していた自己破産の手続きがすべてやり直しになることもありますから注意が必要です。

家族に内緒で自己破産できる?

家族と同居している人の場合、家計の収支状況を作成する上で家族の収入や財産の状況を証明する書類を取得しなくてはなりません。

都合よく手元にこれらの書類があれば家族に内緒で手続きを行うことも可能かもしれませんが、持ち家に住んでいる場合などは立ち退きが必要になりますから、必然的に家族にも知られることになるでしょう。

自己破産による免責を受けた後には金融機関からお金を借りることができなくなりますから、場合によっては家族の支援が必要になるかもしれません。

自己破産を選択する場合には家族からも支援を受けられるようにしておくのが望ましいと言えるでしょう。

それでもどうしても家族にバレずに借金の減額を認めてもらいたい...という場合には個人再生や任意整理といった別の債務整理の方法も選択肢に入れてみると良いかもしれません。

どうしても残したい財産があるときは?

自己破産により借金の免責を受けると、原則としてあなたが所有している財産はすべて換金して債権者に引き渡すことになります。

持ち家や自動車などもすべて手放さなくてはなりませんから、先祖代々の土地でどうしても手放したくない...というような場合には自己破産を選択することは適切ではありません。

債務整理の方法のうち、個人再生では住宅ローンを支払い続けることを条件として持ち家を手放すことなく借金の減額を認めてもらえる可能性があります(これを個人再生の住宅ローン特則といいます)

また、タクシー業社やトラック運送業の方など、自動車がないと収入がとだえてしまう...というような場合には、個人再生を選択すると自動車を手放すことなく借金の減額を認められることがあります(別除権協定といいます)

裁判所に対して自己破産の申し立てを行う

書類の準備が整ったら、裁判所に対して自己破産の申し立てを行います。

申し立て手数料として1,500円、郵便切手代として千円程度が必要になりますので裁判所の窓口で印紙を購入して納めましょう。

自己破産の手続き方法には処分できる財産が何もない場合の同時廃止、財産がある場合の管財事件の2種類がありますが、管財事件の場合には予納金として20万円程度が必要になることがあります(予納金は後で「破産手続開始の決定」が出てから納めます)

予納金は裁判所が選任する破産管財人の報酬として使われます。

【申し立てから1ヶ月】審尋が行われる

自己破産申し立ての書類に問題がなければ、申し立てから1ヶ月程度で裁判所による「審尋(しんじん)」が行われます。

審尋では申立て時に提出した書類の内容に基づいて、自己破産を行う必要が本当にあるのかなどの簡単な質問が行われます。

準備としては申し立て書類の内容を見直して、家計の収支のおおよその金額と、借金の総額や本数を覚えておくぐらいのことをしておけば特に問題はありません。

なお、弁護士などの専門家に依頼して自己破産を行う場合、審尋には本人(あなた)ではなく専門家に出向いてもらえるのが普通です。

【審尋から1週間】破産手続開始の決定

審尋が問題なく済むと、そこから1週間程度で破産手続開始の決定が裁判所から出されます。

同時廃止の場合は破産手続開始の決定と同時に手続きは完了するという扱いになります。

管財事件の場合には破産管財人が選任され、財産が差し押さえられた上で競売の手続き等が始まります。

【破産手続開始から2ヶ月】免責審尋

破産手続開始の決定から2ヶ月ほどで、最終的に借金を免責しても問題がないか?の最終確認(免責審尋)が行われます。

免責審尋では本人が裁判所に出向いて裁判官と簡単な面談を行います。

通常は数人の破産手続申し立て者と一緒に説明を受けることになります。

免責審尋が完了したら、申し立て者側としてやるべきことは基本的に終了となります。

管財事件の場合は?

上の免責審尋の説明は財産がない場合(同時廃止)についてのものですが、管財事件の場合には免責審尋以降も時間がかかります。

審尋後半年以内に債権者集会が行われます。集会は複数回に及ぶこともあり得ます。

【免責審尋から1週間】免責許可決定が出される

免責審尋から1週間程度が経過すると、いよいよ裁判所から免責許可決定が出されます。

免責許可が出た時点で借金の負担はリセットされ、支払義務から免れることになります。

ただし、同時に官報(政府が発行している新聞のようなもの)に氏名や住所が記載されるほか、金融機関のブラックリストに登録される(破産手続が開始した時点で登録されます)ため、金融機関でローンをくんだり、クレジットカードを発行したりといったことがいっさいできなくなります。

自己破産の場合、ブラックリストに登録されている期間は10年間、個人再生や任意整理の場合は5年間となります。

法律の専門家に相談しよう

以上、自己破産の方法や手順について具体的に解説させていただきました。

自己破産は裁判所に申し立てをして手続きを行いますから、必要書類の準備や財産目録の作成は正確な情報に基づいて行うことが求められます。

もし書類に問題があると申し立てが認められてもらえないほか、途中で別に財産が見つかったような場合には最悪の場合は「財産隠し」とみなされて自己破産の手続きが中止されてしまうこともありえます。

このような事態にならないためには、法律の専門家(弁護士や司法書士)に自己破産の手続きを代行してもらうのが安全です。

弁護士や司法書士に自己破産の手続きを依頼した場合には、20万円~30万円程度の費用が発生しますが、後払いや分割払いに応じてもらえるのが普通ですから、検討してみると良いでしょう。

また、相談だけであれば無料で受け付けてもらえる事務所がほとんどですから、自分は自己破産する必要が本当にあるのかどうか判断がつかないというような場合も相談してみることをおすすめします。

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